九祭 ばってん少女隊
2022年のベストアルバム3枚目は、ばってん少女隊の九祭です。
ばってん少女隊は、九州を拠点に活動するスターダストプローモーション所属の6人組アイドル。
スターダストプロモーションといえば先輩アイドルのももクロの存在が大きい。
しかしながら、彼女達はなるべくももクロの妹分であるというブランドに頼らず、独自性を貫くことでファンを増やしている。
2022年のアイドル楽曲大賞の推し箱部門では、メジャーアイドルを押し退けて1位だ。
(そういう界隈には、かなり愛されているアイドルなのだ)
媚びないのが特徴で、大手のレーベルから独立し、専門のレーベルBATTEN Recordsを立ち上げ、
プライベートレーベルを活かし、クリエイター至上主義で洗練された音楽性やMVを作り、
大手ではできない取り組みをたくさん取り入れている。
近年の楽曲のテーマは、”地元九州”と”和のテイスト”だ。
今作の「九祭」は特に”和のテイスト”が強くなっている。
リード曲は「御祭sawagi」。
まぁまず衣装が可愛い。
巫女さんのような振袖で、色味をグッと抑えて高貴で高潔だ。
映像も良い。
謎のモノリスと阿蘇の山々。獅子舞と炎。ドロステ効果のソロ歌唱ショット。
どの場面を切りとっても神秘的だ。
声のエフェクトも良い。
コーラス/ディレイ/ローパスフィルタなどが用いられ、音に対してこだわりが強いのがわかる。
作曲はPARKGOLF。
誰が作ったか調べなくてもわかるぐらい聴けばPARKGOLF感が非常に強い。
PARKGOLFは、10年ほど前に2.5DやMaltine Recordsで活躍していて、
smithが大学生の頃に、秋葉原のMOGRAやイベントに通いまくった思い出があり、
当時大好きなアーティストの1人だった。
まず聞いた瞬間に「絶対に作ったのPARKGOLFやん」「なつかしー!!」となった。
もうその思い出補正で100点満点だった。
ジャンルとしてはハウスやテクノだ。
PARKGOLFは北海道の札幌市出身で、トラックメイカーのBUDDAHOUSEと共に、青春時代を過ごしたそうだ。
やはり札幌といえばハウスのメッカで、Precious Hallの存在が大きい。
Precious Hallは世界中のハウスDJの憧れの箱で、店内撮影禁止、謎の多いクラブ。
smithも北海道出身なので、帰省した際などに何回か行ったことがあるが、
間違いなく居心地/客/音全てにおいて日本最高なのは間違いない。
みなさんも札幌に行く機会があれば是非行ったほうが良い。
ちなみに怖い客は1人もいない、むしろそういう客は淘汰されてきた箱なので、
逆に拗らせた音楽ヲタクしかいないので、安心して入れる笑
そんな環境で育っているPARKGOLFが巡り巡って九州のアイドルの曲を作曲してるのだから、面白いに決まっている。
他の曲も和のテイストが入っている。
「YOMIYA」「さがしもの」はケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)が手がけ、
あの独特な作風と和楽器がミックスされ、ダンスチューンに仕上がっている。
「さがしもの」はケルト音楽がテイストとして入っているのも面白い。
アルバム全曲捨て曲がなく、クリエイター色がかなり強い。
なので、バリエーションの振れ幅が大きいのも面白い。
アイドルフォーマットはアーティストの実験場だ。
それを改めて示した ばってん少女隊の九祭は2022年ベストアルバムにふさわしい。
そして私の推し、春乃きいなちゃんは最高に可愛い。